「無駄」の中にこそ、育ちの種がある | 社会福祉法人玉水学園 玉水保育園

不易流行(理事長ほか)

「無駄」の中にこそ、育ちの種がある

効率よく物事を進めようとするとき、私たちはつい、無駄と思われる時間や手間を省こうとします。しかし、本当の効率性は、無駄をすべて取り除くことで生まれるのでしょうか。

 たとえば、何かを上達させようと思えば、繰り返し練習し、試行錯誤を重ねることが欠かせません。数多くの経験を積むからこそ、少しずつ質が高まり、やがて自分なりの工夫や応用ができるようになります。一見遠回りに見えることの中にこそ、確かな成長につながる大切な過程があるのです。

 子育ても同じではないでしょうか。子どもが同じ遊びを何度も繰り返すこと、なかなかうまくできずに何度も挑戦すること、道端の小さな虫に夢中になり、いつまでもその場を離れないこと。大人から見れば、時間がかかり、何の役に立つのかわからない経験かもしれません。しかし、そうした時間の中で、子どもは自ら考え、感じ、発見し、失敗から学んでいます。

 タイパ(時間対効果)、コスパ(費用対効果)、時短が重視される現代だからこそ、子育てには、あえて効率を求めない時間が必要です。すぐに結果を求めず、先回りして答えを与えず、子ども自身が納得するまで待つこと。それは決して無駄な時間ではありません。

 子どもの未来を豊かにするのは、最短距離で得た知識だけではなく、寄り道や失敗、繰り返しの中で育まれる力です。私たち大人に求められるのは、無駄を省くことばかりではなく、無駄に見える経験をどれだけ保障できるかという視点なのかもしれません。

 ゆっくり、じっくり、たっぷりと。 子どもの今を大切にすることが、やがてその子らしい未来を切り拓く力につながっていくのです。

塩原祥暁