就学前基礎教育
就学前教育というと、文字や数字を覚えたり、小学校の学習に備えたりすることを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、本当に大切なのは、知識を身につけることだけではなく、自分で考え、工夫し、答えを見つけようとする力を育てることです。
そのために大切にしたいのが、「具体物教育」と「対話教育」です。
具体物教育とは、実際に物に触れ、動かし、比べ、組み合わせるなど、具体的な体験を通して学ぶことです。例えば、積み木を高く積もうとして崩れたとき、子どもは「どうして倒れたのだろう」「どうすれば倒れないだろう」と考えます。形や大きさを比べたり、積み方を変えたりする中で、物の性質や関係に気づいていきます。つまり、物に働きかけることで、子どもの思考は育っていくのです。
そして、そこで生まれた気づきを、言葉にして伝え合うことが対話教育です。「どうしてそうしたの?」「ほかの方法はあるかな?」と大人が問いかけることで、子どもは自分の考えを整理し、相手の考えにも耳を傾けるようになります。
次に、すぐに正解を教えるのではなく、試したり、失敗したり、もう一度挑戦したりする経験を大切にすること。それが、これからの学びに欠かせない試行錯誤力につながります。
就学前教育の目的は、小学校の学習を先取りすることだけではありません。生活やあそびの中で経験してきている事柄を具体化することと、自分で考えることを楽しみ、学ぶことに意欲を持てる子どもを育てることなのです。
塩原祥暁

